グレーゾーンってなんですか?
銀行やカード会社、そして消費者金融会社から、お金を借りた場合、月々の返済に加えて金利が必要になります。
この金利、同じ金利といっても銀行とそれ以外では使う法律が違っています。
ちょっと話が硬くなりますが、法律施行の流れから見てみましょう。
銀行や信用金庫、信用組合や農協などは、それぞれ運営するために、たとえば銀行の場合は銀行法、農協の場合には「農業協同組合法」に基づいて金融機関としての法律の中で活動を行います。
この中で融資(貸付)を行う場合の金利は、「利息制限法(明治10年9月布告)」が適用されます。
現行の利息制限法の上限金利は、元本が
10万円未満の場合: 年20%
10万円以上100万円未満の場合: 年18%
100万円以上の場合: 年15%
これに代わって、消費者金融会社や多くの信販会社の場合は、銀行や農協と違って、「金融業」としての一般の商行為の会社や個人なので、一番関連する法律は「貸金業法(2007年12月改正)」に従って運営されます。
そして融資業務には「出資法貸出のための法律(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)」で運営しているところがほとんどでした。
出資法が作られた理由は、貸金業者と結ぶ金銭消費貸借契約(借入のための一般的な契約書の名前)では、借り手側(債務者)と貸し手側(債権者)の双方の間で自由に利率を定めることができたのですが、借り手側の弱さにつけ込む悪質業者の規制のために1954年(昭和29年)に制定されました。
制定当時の出資法の上限利息は109.5%、これが時勢の流れから、73% 54.75% 40.004%と何度もの変遷を経て、現行は2000年6月より29.2%に決められました。
この変化する金利に少数点がいくつもあるのは、日歩やうるう年など、なんだかんだのご苦労があるようです。
では金融業を行う信販・カード・消費者金融会社が出資法に基づいて融資金利を決めていたのはなぜでしょうか?
この理由は、貸金業法にあります。
貸金業法は、それまでは悪質な貸し手側にさまざまな「制限・規制を与える法律」として「貸金業規制法」として1983年5月に公布された法律です。
この法律の中には、利息制限法利息の上限を決めた法律を超える金利であっても、「債務者が任意に利息として支払った場合は有効な利息の弁済とみなす」という部分があります。
この部分を「みなし弁済規定」と言いますが、いわば、貸し手側に利息制限法を超えてもいいよ・・・ と法律に記載されていたのです。
大きな規制や制限を受ける銀行と違い、歴史が浅く、今のように規模が大きくなかった融資業務の会社などは、当然「出資法」で貸し付けを行うことになります。
この出資法で貸し付けられた29.2%と利息制限法の差が、「グレーゾーン」です。
この長年続いたグレーゾーンが「過払い金の返還」として、最大の消費者金融会社の破綻にも見られる、金融会社の疲弊につながりました。